お口の中の話
2018/08/13

むし歯をつくるのは甘いものです

甘いものはすべてダメ?

むし歯は、ミュータンス菌とよばれるむし歯菌が糖分と結びついたときにはじまります。ミュータンス菌は、だれの口の中にもいるわけですが、ここに甘いものがやって来なければむし歯はできないわけです。
甘いもの、とひと口にいいますが、甘ければどんなものでもいけない、というわけではないのです。とくにいけないのは砂糖。なかでも、液体に溶けている状態の砂糖が問題です。たとえば、ジュース、アイスクリーム、それに砂糖の入ったコーヒーや紅茶などです。もちろん、液体でなくても砂糖はいけません。チョコレート、キャンディ、ケーキ、ケチャップなどにも砂糖が入っています。
砂糖が液体に溶けた状態で口の中に入るとミュータンス菌によって分解されますが、分解されると水に溶けない部分ができます。これが歯に粘りついてむし歯をつくるのです。

甘いものにも色々な種類があります


同じ甘いものでも、果物や蜂蜜、ぶどう糖などでは、むし歯になりにくいのです。なぜならば、果糖やぶどう糖などは、これ以上分解すると糖分としての性質を保つことができない物質ですから、ミュータンス菌に出会っても、砂糖のようにむし歯の原因となる物質をつくることがないのです。ちなみに蜂蜜も同じです。
誤解されやすいものにガムがあります。ガムは歯の間の汚れを取ると考えられがちですが、汚れをより落としにくい場所に押し込むことのほうが多いようです。
そして、いちばんの問題はガムに含まれている糖分です。ガムをかむことは、ちょうどキャンディをなめているのと同じように、長い時間、砂糖の溶液に歯をさらしていることになります。
しかし、ガムがあごをきたえるために、ひと役買っているのは、評価に値することです。砂糖を使っていないキシリトールガムなどを選ぶようにしましょう。
タバコも歯にはよくありません。とくに吸う量が多いと、口の中の粘膜を痛めたり、細菌に対する抵抗力を弱らせることもわかっています。甘いものをがまんして一服付けるというのも、度が過ぎると、やはり甘いもののとりすぎと似たような結果になりそうです。

引用元:
歯がわかる本 鴨井久一監修 みずうみ書房刊