歯とからだの話
2018/11/01

歯科治療における金属アレルギー

歯科治療では様々な金属が使われていますが、これらの金属によってアレルギーが引き起こされることもあります。
アレルギーとは体の拒絶反応です。
簡単にそのメカニズムを説明しますと、まず特定の金属イオンが体内に入り込み「抗原抗体反応」が起こります。
例えばピアスや指輪をしていて、汗で溶けた金属イオンが体内に入り込む場合もあるし、歯の詰め物の金属イオンが入ることもあります。
その抗体が体の中にあると、その後、また同じ金属イオンが入ってきた時に体が排除しようとします。
その反応が金属アレルギーというわけです。

金属アレルギーが悪化すると重病になる可能性がある

金属アレルギーに限らず、アレルギーの発症や症状にはかなりの個人差があります。
抗体があってもアレルギー反応が症状として出ない人もいますし、少量に対してすぐに症状が出る人もいます。
症状も人によってさまざまですが、皮膚に発疹ができる、手や足の皮がむける、皮膚がただれたり化膿をおこすということもあります。
原因となっている物質を取り除くこととその物質を今後避けることが、アレルギー反応を鎮め再発を予防するのに不可欠です。

ところが、アレルギー反応の症状が出ている部位が手や足の場合、歯の詰め物と関連があるとは患者さん自身は思いつきにくいため、原因がわからないまま症状が悪化してしまうことがあります。
金属アレルギーが悪化してしまうと、発疹などのアレルギー症状のほか、脳障害や臓器機能障害、手足に発症する掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)など、大きな病気に繋がる場合があります。

パッチテストでアレルギーのチェックする

歯科治療時に口腔内に使用する金属には、金、銀、銅、白金、パラジウム、イリジウム、インジウム、亜鉛、ルテニウム、スズ、チタン、ニッケル、クロムなどがあります。
歯科治療ではさまざまな金属を使いますが、いずれも金属アレルギーの原因物質になりうるものです。
したがって、金属アレルギーを予防するためには、歯科治療をする前に皮膚科へ行ってパッチテストを行なうことをおすすめします。
あらかじめ把握していれば、その金属を使わずに治療することができます。
また、歯科治療をした後にアレルギー反応が出たという方も、早めにパッチテストを受けて原因を特定し、歯の詰め物を他の素材に詰めなおすなどの対処が可能です。

口の中で使用する金属は長期間、毎日使うものですから、自分に合った金属について歯科医とよく相談の上で決めることが望ましいでしょう。

引用元:
女のキレイは「歯」と「口もと」から 講談社刊 林裕之・林晋哉著