歯とからだの話
2018/10/24

歯周病と糖尿病

日本で糖尿病は、食生活が質、量ともに豊かになり、毎年増加傾向にあります。
糖尿病にかかると、体がだるいだけでなく、網膜症や腎臓病など、全身性の疾患に悩まされることになります。さらに、体中の悪玉の微生物と戦う機能が極端に低下するため、歯周病菌にも十分に抗しきれず、口の中での増殖を一方的に許してしまいます。そのため歯周病はどんどん悪くなっていき、糖尿病性歯周病とでもいった状態に陥ってしまうのです。
現在、歯周病は糖尿病の第6番目の合併症といわれています。

歯周病と糖尿病との因果関係

歯周病が糖尿病そのものを引き起こすわけではありませんが、歯周病を治療せずにそのまま放置しておくと、口の中に生じる炎症や感染の持続によって、脂肪組織や骨格筋の細胞の糖の代謝機能を妨げ、インスリンに対する抵抗性が高まってしまい、インスリンを作用しにくくしてしまうのです。
インスリンとは血液中の糖の濃度を下げるホルモンで、これがうまく作用しなくなると血液中の血糖値をコントロールすることが困難になり、血糖値が上がり、糖尿病は悪化傾向をたどって、同時に病原菌感染を抑える能力や創傷治癒能力までが低下していきます。
糖尿病のコントロールをきちんとするためには、歯周病をしっかりとなおすことが重要で、また歯周病を予防したり進行を防ぐためには糖尿病の治療が大切ということになります。
歯周病と糖尿病。意外に密接な関係なのです。

 

※TNF-αは、脂肪細胞から分泌される生理活性物質の 1 つで、筋肉、脂肪組 織や肝臓での糖の働きを抑制する作用があり、増加すると糖尿病や動脈硬 化などのリスクを高めます。

 

引用元:
新・命をねらう歯周病 鴨井久一/沼部幸博著 砂書房刊