治療の話
2018/08/01

暫間義歯(ざんかんぎし)って何のこと?

歯を抜くと、奥歯ならものがかみにくくなりますし、前歯ならものがかみ切りにくい、ということになります。ことに前歯を何本も抜いたりすると、話すときに息が漏れて、ふがふがと不明瞭な発音になり、一気に年寄りじみてしまいます。
しかし、だからといって、歯を抜いたその日に義歯を入れてしまうということはできません。
義歯をつくるのにはかなりの時間がかかりますし、歯を抜いた跡が完全に治って歯肉が安定するのに最低でも1ヶ月はかかります。
そこで、とりあえず暫間義歯(即時義歯、仮義歯)を入れておくわけです。
暫間義歯はそのほか、これまで使っていた義歯が合わなくなって新調する場合、また、かみぐせを矯正する必要があるときには、治療用義歯として用いられます。この場合には、少し長い期間、暫間義歯を使用してから、本物の義歯を入れます。
暫間義歯を入れるときは、歯を抜く前に歯形を取り、抜く予定の歯の暫間義歯をあらかじめつくっておきます。床のついた、両側の歯にバネで留める形式が多いようです。材料は金属やレジンなど、入れ歯やクラウンと同じです。
そしてそれを歯を抜いたところへすぐに入れます。これでとりあえずは抜いたその日から不便をしたり、みっともない思いをしたりせずにすみます。


しかし、あくまで暫定的な義歯ですから、そのままでは不都合が生じてきます。歯を抜いた傷が治ってくると、歯肉の状態が変わってきて、暫間義歯の床との間にすき間ができたりするのです。もし、本物の義歯ができる前にそういう不都合が生じたら、暫間義歯の床の裏打ちをするなどして合わせます。
抜いた場所の傷が完全に治って歯肉が安定したら、ほんとうの義歯をつくります。それができあがれば暫間義歯は用ずみとなるわけです。