治療の話
2018/07/31

二度と生えない永久歯

それでも抜かなくてはいけないトキ

 

歯を1本抜くと、その跡に両側の歯がせり出してきて歯並びを乱します。また、かみ合わせの相手を失った歯も伸びてきます。そして、歯を1本抜いたために全部の歯が狂ってしまって、これがまたむし歯や歯周病、顎関節症といった病気の原因になるのです。
ですから、歯をぬくことはせきるだけ慎重でなければなりません。また、不幸にして抜くことになった場合は、決して抜きっぱなしになどしてはなりません。
どうしても歯を抜かなければならないのは、主として次のような場合です。
① むし歯がC4まで進んで、歯がもはや形を成していまうとき。
② 歯周病が進行して、歯槽骨がほとんど溶けてしまっているとき。
③ 事故などで歯が修復不可能なまでに欠損したり、ひびが入ったりしたとき。
④ 親知らずや過剰な歯、歯列を乱している歯などで、ほかの歯に悪影響を及ぼすと思われるとき。


このような場合には、歯科医は患者によく説明し、納得してもらった後、歯を抜くことになります。
歯を抜くときは必ず麻酔をかけますから痛くはありません。麻酔も進歩して、麻酔の注射自体の痛みもかなり少なくなりました。あまり緊張せず、できるだけリラックスして処置を受けたいものです。
抜いたあと、しばらくすると麻酔が切れて痛んでくることがありますが、痛み止めの薬をくれますから、そんなに恐れることはありません。
ただし、健康状態のあまりよくないときは、抜歯は避けたほうがよいでしょう。内科的な持病のある人や妊婦などは、そのことを必ず歯科医に伝えてください。
抜いた日は、スポーツをしたり大酒を飲んだりさえしなければ、特に問題はないでしょう。しばらくは血が出てきますが、あまり神経質になって、やたらにうがいをするなどはかえってよくありません。歯科医の指示をよく守って、口の中を清潔にし、あとの治療をしっかり受けましょう。

引用元:
新訂歯がわかる本 みずうみ書房