予防の話
2018/10/30

フッ素ってなに?

子どもたちの萌出した直後の歯は、まだエナメル質の結晶構造(ハイドロキシ・アパタイト)が完全ではありません。
歯が萌出したあと、唾液中のカルシウムイオンが不完全な部分に取り込まれて、エナメル質が強くなっていきます。
フッ素を歯の表面に塗ると、カルシウムの代わりに、フッ素がエナメル質の結晶の不完全な部分に早く取り込まれて、早期にエナメル質を強くすることができます。
また、初期のむし歯におかされた白濁部(エナメル質の結晶がこわれかかった部分)にもフッ素が取り込まれ、ふたたび硬くしてむし歯の進行を阻止します。

現在、日本で販売されているハミガキ剤の約90%はフッ素が配合されていて、歯科医院などではフッ素を使った洗口や塗布を受けられます。
ちなみにアメリカやオーストラリアなどでは、水道水にフッ素を添加して日常的に摂取できる工夫をしています。

フッ素は様々な年代に必要

●お子さんに

お子さんのフッ素塗布は大変重要です。
歯がむし歯菌に侵されやすい未成熟な状態なので、フッ素を定期的に塗ることで強い歯を作りましょう。

●妊娠中の方に

母から子へ口移しで食べ物を与えることは、同時に母親の口の中の菌も子供に移すことになります。
妊娠中からフッ素などでむし歯菌を減らしましょう。

●ミドルエイジに

一般的に歯周病がもっとも進行しやすい年代です。
歯と歯の間にすき間があいて、プラークが溜まりむし歯ができやすくなります。
フッ素で予防しましょう。

●シルバーエイジに

歯ぐきがやせてきて、歯の根元のセメント質が露出しやすくなります。
ここは大変むし歯になりやすいので、フッ素で強化しておくことが特に大切です。

フッ素は食品にも含まれている

フッ素は自然界にある元素の1つで、お茶などに微量に含まれているものです。
歯や骨をつくるために欠かせない役割を果たしており、むし歯予防にも高い効果を発揮しますので、食品からも積極的に取り入れましょう。

フッ素が含まれている食品

・人参
・じゃがいも
・りんご
・牛肉やミルク
・魚介類
・海藻類
・緑茶

フッ素でできるむし歯予防  3つの効能

再石灰化を促進する

酸により歯から溶け出した、カルシウムやリンの再石灰化を促進する

歯の質を強化する

歯の表面をおおうエナメル質を強くして、酸に溶けにくい性質にする

酸がつくられるのを抑える

歯垢中のむし歯菌の働きを弱め、酸がつくられるのを抑える

 

引用元:
歯と口の健康づくり 基本120 扶桑社刊
歯にいいはなし 香川県歯科医師会編 医歯薬出版株式会社発行