お口の中の話
2018/08/09

歯周病の原因はプラーク

口腔内のプラークには何億もの細菌が

私たちの口の中(口腔内)には、三〇〇種類を超える細菌が存在します。
これらの細菌は歯や歯肉などの表面に付着し、菌同士が集まって集落のようなものを作ります。この集まりをプラーク(歯垢)といいます。口の中には手入れのいい人でも五〇〇億、ふつうの人で二〇〇〇億、手入れの悪い人では一兆もの菌が存在するといわれます。
細菌は、エサになる栄養分がないと増えることができません。ところが、私たちの口の中にはいつも食べ物が入ってくるので、プラーク中の細菌が死滅することはなく、むし歯や歯周病の原因になっているのです。

むし歯と歯周病では原因菌の性質が違う

むし歯も歯周病も、プラーク中の細菌の感染が原因で起こりますが、それぞれの細菌はタイプがまったく異なります。
むし菌の原因菌となるのは、主に歯肉縁上プラーク(歯肉より上側で歯の表面に付いているプラーク)の中の細菌です。好気性菌といって空気の存在下でよく繁殖し、空気に触れる歯の表面部分で活動します。一方、歯周病の原因菌となるのは、歯肉縁下プラーク(歯肉の下にできた歯周ポケットに入り込んだプラーク)の中の細菌です。嫌気性菌といって空気のないところでよく繁殖する菌で、空気に触れない歯周ポケットの中で増殖し、歯周病を悪化させます。歯肉縁下プラークは歯肉の下にあるので、ふつうに歯をみがいただけでは、歯肉縁上プラークほどきれいに落とすことができません。
歯肉縁下プラークは歯肉縁上プラークに比べ、毒素の強い物質を作り出す悪玉の細菌が多く、全身に悪影響をおよぼしやすいこともわかっています。

プラークコントロールとは?

口腔内はもちろん、全身の健康を守るためには、毒性の強い物質を出す細菌を増やさないこと。そのためには、プラークが増えないようにすることが重要です。しかし、人が生きて口から何かを食べている限り、口腔内にはプラークが付着してしまいます。そのまま放置すると、細菌がますます増えてしまうので、できるだけ早く歯をみがいてプラークを落とすほか手だてはありません。こうしてプラークが増えすぎないように口の中の環境をととのえていくことを、「プラークコントロール」といいます。これは歯周病をはじめとするすべての歯科疾患対策の基本です。

 

 

引用元:
中・高年の歯の病気がすべてわかる本 森山貴史著 主婦と生活社刊