治療の話
2018/07/17

歯の色が「真っ白」でないワケは?

人間の歯の色は一見真っ白ですが、近づいてよく見ると、いくらか黄色みを帯びています。きれいなクリームホワイトの表面を半透明なつやのある部分が覆っている、といったところでしょう。
これは、歯の表面を形成するエナメル質が白っぽい半透明体で、その下の象牙質の淡い黄色を帯びた白が透けて見えるためです。ですから健康な歯の色は、アイボリーホワイト、つまり象牙色ということになります。そしてていねいに磨きあげたようなつやがあります。
ところが、歯の色が美しい象牙色ではない人がいます。黒ずんでいたり、茶色っぽかったり、つやがなかったりして、とくに歯が悪いというわけでなくても、なんとなく不健康な歯に見えます。
また、そういう歯の場合は、ちょっと歯を磨いたくらいでは、きれいな色にならないのです。
歯の色を汚してしまう原因はたくさんあります。具体的には、母親の胎内での、なんらかの異常で歯の発育が損なわれた場合。子どものころの抗生物質などの多用。歯のエナメル質を強くするはずのフッ素を過剰に与えた場合などです。そのほかにも、歯髄を抜いてしまった歯は、しばしば変色しますし、タバコのヤニが付着した、といった単純なケースもあります。
歯の色がよくないのは、実生活には支障のないものであっても、美容上たいへん気になるため、歯を白くするための治療を望む人も増えています。原因によっていろいろな治療法がありますから、歯科医に相談されるとよいでしょう。
タバコのヤニなどは研磨剤の入った歯磨き剤や、最近出回っているハイドロキシアパタイト配合の歯磨き剤などで取り除くことができます。また、内的原因で悪くなったものにも、治療法があります。

※ハイドロキシアパタイト…歯のエナメル質に本来備わっている要素で、エナメル質を構成するカルシウムの成分。唾液中のミネラルとの相互作用で歯の石灰質を強くし、歯を白くするといわれる。

引用元:
新訂歯がわかる本 みずうみ書房刊