治療の話
2018/09/06

治療した歯の注意点

天然歯よりデリケート

みなさんは、金属で詰めたりかぶせたりした歯のほうが丈夫だと思っていませんか? これは間違いです。断然、天然の歯がよいのです。もちろん、虫歯になってしまったら、人工物で補わなければなりません。歯の形は人工物で復元できますが、人工物を支える元の歯は治療で削られて、かなり小さくなっているはずです。しかも、接着剤が介在しています。
3度の食事や歯ぎしりの重圧に耐え、唾液にさらされ、細菌が周囲に生息する環境で、どのくらいサバイバルできるのでしょうか。
みなさんは、歯の詰め物や冠が何度か外れた経験があると思います。実のところ、成人では初めて虫歯になった歯よりも、以前に何らかの治療が施された歯の再治療のほうが圧倒的に多いのです。統計によると、修復物の平均使用年数は6.9年で、さらに外れた歯を再治療した場合、その後の修復物の平均使用年数は5.4年と短くなっています。つまり、治療された歯の手入れは、自然のままの歯より難しいのです。 人工物を製作する時はなるべく理にかなった形に歯を削り、精密な型を取り、歯にぴったり装着するよう神経を使いますが、どれほど精密にしても歯と人工物の間には、細菌の大きさからいえば、かなりのすき間ができてしまうのです。したがって、その間に歯垢が溜まらないようしっかり歯磨きする必要があります。
また、接着剤が加圧によって破壊されないよう、乱暴に噛むのは控えたほうがよいでしょう。詰め物が外れた人に原因を聞くと、アメを噛んだ時が多いようです。気をつけましょう。詰め物や冠を歯に装着している方は、虫歯を作ってしまった生活態度を反省しましょう。同じようにしていたら、嫌な思いをして治療した歯も、まだ虫歯になっていない歯も、ダメにしてしまうかもしれません。

引用元:
歯のトラブル知らずになる本 中村輝夫著 山海堂刊