虫歯より恐い?

歯周炎の正体は?

 ちょっとまぎらわしいのですが、歯周炎のほかに歯肉炎(しにくえん)、歯周病(ししゅうびょう)ということばがあります。
 歯肉炎というのは、歯周炎、つまり歯槽膿漏のはじまりの状態をいい、歯周病はそれらを全部ひっくるめて、歯を支える組織の病気全体をいいます。
 だから、歯周炎のはじまりは歯肉炎で、それを放置すると歯周炎、つまり俗にいう歯槽膿漏へ進むということになります。
 最初はこの歯肉炎からはじまります。歯と歯肉の間には小さなすき間がありますが、そのすき間に細菌が侵入して、歯肉が炎症を起こすと歯肉炎となります。

●歯周病の進行

 
 歯肉炎は歯全体に一斉にはじまるわけではなく、たいていは歯と歯の間などの、歯ブラシが届きにくく、汚れがつきやすい場所からはじまって、しだいに広がっていきます。
 歯肉炎のうちに治療すれば、治療も簡単で、成果も上がる
のですが、なんの自覚症状もないうえに、素人目には何も変化が見えないので、この段階で歯医者さんにかかる人はごく少なく、むしろ虫歯などで治療を受けに来て発見されるケースが多いのです。

 そして歯肉炎は放置するとしだいに歯茎の内部を侵しはじめ、ついには歯を支えている歯槽骨を溶かしてしまいます。ここまで進むと、もうりっぱな歯槽膿漏で、歯槽からは膿(うみ)が漏出(ろうしゅつ)し、いつも口臭が絶えなくなります。そして支えを失った歯はぐらぐらと揺れ動き、ついには抜け落ちてしまいます。

 ちなみに歯槽膿漏というのは、読んで字のごとく歯槽から膿が漏れる病気ですが、それはあくまで症状であって、病気そのものの本質を表してはいません。そこで最近では歯周炎とよばれるようになりました。

 このように歯周炎は、歯が抜け落ちてしまう恐い病気ですが、かなりひどくなるまで痛みなどの自覚症状がないため、歯を残せる段階で治療を受けることが難しいという、やっかいな病気でもあります。
 


参考文献: 新訂歯がわかる本 みずうみ書房  刊