一流選手の条件は歯がいいこと?
スポーツと歯

人間は、食べものや水などを飲みこむ時、口を閉じて上下の歯を接触させて下のあごを固定しています。口を開けたままでは、嚥下することは非常に困難なはずです。それらの生理的な運動をする時ばかりではなく、瞬発的にカを発揮しなければならない時には、口を閉じてしっかり奥歯を噛みしめます。それでないと、強いカは発揮できません。「歯をくいしばる」という言葉はここからきています。

 スポーツ選手にとって歯は命です。一流選手ほど、歯にかかってくる負担は相当なものです。歯へのカのかかり具合(咬合力、咬合圧)は、スポーツの種類と内容によって異なりますが、瞬間に筋肉の力を最大限に発揮することを要求されるスポーツにおいては、その依存度は顕著です。

たとえば、相撲の力士にとって、立ち合いのぶつかり合い、瞬間の勝負どころでの、渾身のカをふりしぼっての攻防は、見ていても思わず手に汗をにぎってしまいます。奥歯を噛みしめた時の咬合圧は、平均五〇〜七〇Lですが、カ士では一〇〇Lを超えているでしょう。巨人軍の王選手がホームランを打った時の咬合圧は、九〇Lを超えていたそうで、王選手の大記録の秘密は並はずれた咬合圧にあったのです。彼の抜きんでた瞬発カ、爆発力の源は、頑丈なあごと丈夫な歯にありました。

 一般の人でもゴルフのドライバーの飛距離を伸ばすためにマウスピースをつくる人もいます。一方、体を接触させる機会の多い激しいスポーツは、歯が折れたり、口の中が傷ついたり、あごや顔面に損傷を受ける危険性があり、スポーツ事故を防止するために、マウスピース(マウスガード、プロテクター)を上あごの歯列に装着することが推奨されています。アメリカンフットボール、ボクシング、空手(一部の流派)では義務化されていますが、ラグビー、サッカー、バスケットなども装着したほうがよさそうです。市販のものと、カスタムメイドのものがあり、材料は弾力性のある、エチレンビニールアセテート、ポリ塩化ビニールなどが使われています。もちろん、カスタムメイドの方が、装着時の違和感は少ないです。これは、歯科医院で製作してもらうことができます。